相談会考17 |
聞こえの不安をもつ市民に対しての取組みとして 高齢社会に入って、「聞こえ」の問題は新しい局面を迎えていますはっきり「難聴」とされ、障害者手帳を所持する難聴障害者だけでも30万人を超えると見られていますが、加えて障害者ではないけれど「聞こえに不自由している人」が500万人に達しているだろうと言われています。これらの大半の人たちは高齢者です。 程度の差はあるものの、65歳以上で4人に1人、70歳以上で2人に1人は「耳が聞こえにくく」、かつ「そのことで不自由を感じている」のです。 しかし、そういう実態はこれまで、なかなか表面には出てきませんでした。「トシだから仕方がない」という従来の考え方に加え、「言ってみたところで、どうにもなるまい」というあきらめがあったようです。 ところが、情報社会の加速と、1人暮らしの高齢者の増加で、最近は「そうも言ってはいられない」という声が出はじめてきました。 こうした状況を踏まえて、聞こえの相談を受け、聞こえに関するさまざまな情報を提供し、さらに具体的に情報機器を展示し、さわってもらい、ためしてもらい、苦手な機器にも親しんでもらおう、というのが、この相談会のねらいです。 もとより、予算やスタッフの体制など現実的な制約があり、理想的な相談会にはまだ距離もありますが、予想以上の反響があり、反省点とともに、この相談会の役割の大切さをあらためて痛感しています。 補聴器だけの相談会ということであれば、従来から大手補聴器メーカーや補聴器も販売している大手のメガネ店などで実施されています。 しかし、現状に対応できる相談会となれば、従来の相談会とはかなり違ったものにならなければなりません。 私たちはそうした観点から、ニーズを重視した総合的な相談会を試みました。相談に来られた人に、何が必要なのか、必要でないのか、役に立つものがあるのかどうか、相談者の立場にたって、一緒に考えてみようという試みです。 この事業の広報手段としては、地域広報の掲載と口コミが中心となっています。 情報を生かすかどうかは当事者次第です。 難聴者は情報弱者であり、既存の広報手法がそのまま役立つものではありません。やはり、わかりにくい、伝わりにくい人たちに情報を伝えるには、これまで以上の工夫が必要であると痛感しています。
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